1. 2012
    03
    19

    fMC Tokyo:話は聞こう。しかし従う必要もない

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    今年2月末にニューヨークで初めて開催されたfMC。Facebook主宰のイベントでマーケターやビジネスユーザー向けのもの。この場でFacebookページのタイムラインについての正式な発表がありましたよね。3月16日、米国外では初めてのサテライト版が東京で行われました。fMC本家のものも、東京サテライトの方でももう既に秀逸なレポートがガンガンあがっているので、詳しい内容をご覧になりたい方は自分で探してみてください。

    いきなりだけど、今回のfMC Tokyoの参加費は39,800円だ。私のように、札幌から出席すると丸一日潰れて10万円ほどの出費になる。fMCのサテライト版ということもあり、驚くような発表があるとも思えなかったので私の好奇心の対象はこんなコストを支払ってどんな人たちが何を目的に、なんぼほど集まって、どんな表情をして参加するのか、ということだった。

    会場への到着は開始30分後の11時。札幌は遠いのだ。すでに会場はほぼ満席。まず椅子を数えた。向こうの壁までは距離があるので正確にはわからないが、ざっと500〜600席のほとんどが埋まっている。一部、椅子の背中に白いカードが貼付けられているところは関係者か、プレス向けの席だろうと思う。100席程度か。

    一人当たり約4万円で500人が有料入場だと考えると、2,000万円の売上げ。会場となったミッドタウンホールはホールA/Bの終日レンタル、ケータリング合わせて520万円。それにお土産のTシャツが一人あたり600円として多めの600人分+予備で40万円。シンガポール、米国などからのスタッフ招聘20名分で約1200万円。合計で1760万円。他に会場の整理のスタッフが数十人。もちろんFacebookは、このイベントの収益性などは一切考慮していないだろう。けど、イベントの収支は一見どうでもいいことのようで主催者側の本気度が伺える大事なポイントでもある。今のFacebookだと株主を納得させられない出費は以前より厳しいはずだ。それでも参加者が招待制だったfMC NYCは完全な持ち出しだったろう。この後の他の国での展開がどうなるのか。そういうことばかりが気になるお年頃です。

    話は飛ぶ。fMC出席者向けのアンケートでの属性は二択だった。

    自ら主体的に商売をする【ブランド】なのか、それとも【代理店】なのか。この大雑把すぎる振り分けに戸惑った。だって自らがブランドでないと、代理店業が勤まらないのがソーシャルメディア。なんて自意識は置いておいて、代理店に華麗なる丸印をつけた。

    私が当日、会場で名刺交換した人約40人のうち、ほぼ30人が、自らの商品やサービスを販売しようとするブランドの人たちであった。経営者が圧倒的に多い。社員数も数名から十数名程度の小規模な会社がほとんどだ。セッションから懇親会に参加した人は概ね半数程度のように見えた。なので参加するか否かによっての隔たりはあろう。メディアや大手の代理店の人は、たぶんあんまり出席しないだろうし。

    ちょっと話が長くなりそうな気配に満ちてきたから強引に結論方向に舵を切りたい。

    私がお話できたのは参加された方の本当にごく一部なのでまるで大多数がそうであったかのようには語れない。だが、ブログで「行ってきましたfMC!」と書く理由以外に、本当に自社の商品やサービスを売るためのヒントを得るために参加している人が一定数いたようだ。それも、どうすればすぐに売れるんだ、というよりは長期の関係性作りという基本を抑えて今どうしたらいいのかっていう「分かっている人たち」がほとんどではなかろうか。

    おっと、全然結論に向かっていないぜ。

    例えば、電話機に付いているリダイヤルや短縮ダイヤル、アドレス帳の意味を知らなければ常に相手の電話番号を打ち込まないとならない。使おうとするツールの機能を知っておくことは重要である。Facebookで言えば、タイムラインやリーチジェネレーターは知っておいた方がいい。どのような投稿パターンがより多くの共感を得られるかも傾向としては知っておいた方がいい。だけど、それらは単に機能だったり、傾向の話だ。

    ツールの中でも急激にユーザーを集めるFacebookの話は聞いておいた方がいいと思う。でも、必ずしも言うことに従う必要はない。

    とてつもなく恥ずかしい実話を紹介したい。
    まだ、携帯電話の普及率が1%以下だったと思われる大昔。10代の私は恋に落ちたw
    POPEYEだったかHOTDOG PRESSだったのか思い出せなせないんだけど、こんな記事があった。

    「気になった彼女がいたら、毎日同じ時間に電話するんだ。最初は嫌がられてもいい。でも、毎日その時間に電話すること。ドラマや夕食の時間だと迷惑だから例えば夜7時55分とかそんな狭間を狙え!

    そして、いつの間にか彼女の毎日の生活の中であなたの時間を作ってしまうのだ。
    そして突然電話しなくなる。すると、相手は【どうしたんだろう】ってことになってあなたのことを逆に気にするはずだ」

    ああ、そうさ。愚直に誠実にまじめに実行したさ。
    結果はエンゲージを深めるどころか、相手に迷惑をかけ(ry
    方法論の問題ではなくて、私自身の問題が圧倒的に大きかったのだと思うけど。

    今のソーシャルメディアの議論はどんなもんだろう。定時に電話して印象づけるようなことをしていないでしょうか。

    今日の思考
    コミュニケーションに効率を考えすぎると、ちょっと変なことになります。とはいえ、私も仕事としてクライアントにはコミュニケーションの効率化からのアプローチをせざるを得ないだろうと思います。Facebookのインサイトやサードパーティの解析ツールはしっかり使いながらも、個別に真剣に向かい合わざるを得ないのだろうと思います。

    多少ポジショントークをさせてもらうと、今回のように少なからぬコストをかけても、良いおつきあいをしたいと考えて試行錯誤をすでに開始しているブランドが世の中に多数ありそうだ、ということです。そして、恐らくいくつもの失敗を現在進行形で繰り返しているはずです。それは一年後に大きな財産となるでしょう。何にしても、今すぐやりましょう。


    Hitoshi Eiga / 栄花 均

    Hitoshi Eiga栄花 均

    ソーシャルメディア・ストラテジスト、なんて名乗ったりしているが海外単身赴任生活の孤独を埋めてくれたFacebookへの思い入れがひと際強い。
    ソーシャルメディアを考えるのは人生を考えること。人生を考えるのは、自分の周りの人を考えること。その人たちと何をするのかが人生。

    海外の最新情報や、事例の紹介、費用対効果、マーケティング情報は他に任せる。ソーシャルメディアを思考するブログ。それがこのブログです。

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