1. 2012
    03
    22

    ソーシャルのリスク管理は戦略では解決しない。では?

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    今月初旬にニューヨークで開催された"ブランディングと危機管理サミット"の資料整理をやっと始めました。先週参加したfMC Tokyoでも得られた情報を私なりに思考して何度かに分けてアウトプットをしていきたいと考えています。ご期待くだされ。

    さて、少し前になるが、IBMによるソーシャルメディアに関する調査が発表された。上記の画像は、ソーシャルメディアを通してブランド/企業に期待する消費者の思いと、ブランド/企業が想像する消費者の期待のギャップを描いたものだ。

    ソーシャルメディアの企業アカウントではあからさまな商売をしてはいけない。コミュニケーションや傾聴に重きを置くこと。なんて良く聞くでしょう?

    あえてそういうデザインにしたのであるが、上の図をご覧頂くと左右で大きなギャップがあることがわかる。消費者が期待することは「商品の割引」や「ダイレクトに購入する」こと。そして、企業が想像する消費者の期待することではそれらが最下位に位置している。この調査結果が発表された後に見かけた英語圏のブログではやはりこの画像と同じようなコントラストを描いた画像が多数見られた。

    でも、気になるギャップはむしろそれ以外のところ。右の企業側の想像としては「新製品情報」「意見の送信」「特ダネ」あたりは、消費者にしてみたらあんまり重要ではなさそうだし、「つながっていたい」に関しては企業の64%が大事だと想像する中で、価値を置く消費者は33%と、痛々しくて可哀想になるくらいのギャップだ。しかし、反対方向から眺めると3人に1人もの消費者がブランドとつながっていたい、と驚く隙間も十分にある。

    何が言いたいか、というとソーシャルメディアでのコミュニケーションは、全体のデータを解析して最適解を得ようと思ってもうまくいかないんじゃないだろうかということだ。7割の人がつながりたいと思っていない、というデータからつながりを無視するような運営をしていいのか。6割強が割引を期待しているからといって常に割り引きアプローチでいいのか。

    リーチを最大化することは重要だ。消費者の思いに耳を傾けることもやはり重要だ。勘違いしてはいけないのは、このデータはあなたのブランドのファンからよせられた回答ではないことだ。聞くならあなたの目の前にいる人の話を聞こう。

    ここでは「企業と消費者の意識にはギャップがあるのだ」という理解だけでOK

     

    炎上の心配、相談を誰にしてる?
    昨日、友人から私の五年後のキャリアを考えさせられる質問をされた。早い話が「ソーシャルメディアであと五年食えますか?」ということだ。それにはたいがいはNOと即答する。ソーシャルメディアが一般化、大衆化、インフラ化するまでは、それなりに特別なものに思えるから専門領域っぽく見せかけてサービス提供者の実力以上のビジネスをすることは可能だ。

    「炎上するのが怖い」
    「どうしたら炎上を防げますか?」
    「炎上したらどうすればいいですか?」

    こんな心配や不安を良く聞く。
    あなたは誰かにこういう相談をしたことがあるだろうか。あるなら、誰にしましたか?

    恐らくは取引のあるインターネット関連の企業(制作会社とか代理店とか)や、個人的に親交のある友人知人でネットやソーシャルメディアに詳しい人じゃないかと思う。

    なんでソーシャルメディアやネットに詳しい人に聞くのかっていうとそれってソーシャルメディアが特別だと思っているから。私の仕事はそういう特別っぽさに支えられている仕事だとも言える。(リスク管理は本来私の仕事ではないのだけど、実際の仕事ではよく相談される。)

    ニューヨークでのカンファレンス初日に聞いた印象的な言葉を紹介したい。

    Crisis planning is a therapeutic, not strategic, activity
    危機管理は戦略ではなく治療的活動だ

    炎上をオフラインで考えたら、いじめの問題などがそうかもしれない。子供でも大人でもいじめは人生の深刻な炎上といえる。そう考えると、上記の言葉がよりよく理解できないだろうか。いじめを解決するのは戦略ではなく、治療なのだ。いじめる方、いじめられる方の双方にとって治療が必要だ。

    携帯電話にストーキングライクなコールが続くからといって、携帯電話機の開発をしている人やキャリアで働く人に相談する人はいないだろう(システムやサービスで対応できるものは別として)。
    今ソーシャルメディア周りのうさんくさいところで何が起きているかというと、そういうことだ。だからソーシャル何とかってタイトルがうさんくさく見えたり、信用ならんってことになる。もうすぐそこだ、ソーシャルメディアが特別じゃなくなるのは。


    Hitoshi Eiga / 栄花 均

    Hitoshi Eiga栄花 均

    ソーシャルメディア・ストラテジスト、なんて名乗ったりしているが海外単身赴任生活の孤独を埋めてくれたFacebookへの思い入れがひと際強い。
    ソーシャルメディアを考えるのは人生を考えること。人生を考えるのは、自分の周りの人を考えること。その人たちと何をするのかが人生。

    海外の最新情報や、事例の紹介、費用対効果、マーケティング情報は他に任せる。ソーシャルメディアを思考するブログ。それがこのブログです。

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