1. 2012
    04
    10

    ケルベロス(ゾンビ犬)からぶっ倒せ

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    Photo used under Creative Commons from gaudiramone

    自分の左隣に座った男性を見て「うわぁ、この人レクター博士に自分の脳みそ食わされた人にそつくり!」などと思っていたらファイザー製薬の副社長で、スピーカーのひとりだったのかぁなんて私のどうでもいいサプライズはどうでもいいですか?

    Pfizer Nutrition社の副社長Hawkins氏は危機とはつまり、ゾンビ!であると説きました。

    ※このブログエントリは3月初旬にニューヨークで行われた"Reputation Preservation & Crisis Communication USA 2012"に出席した時のレポートです。

    合同セッションに入る前の自己紹介を兼ねたスピーチだったので10分程度の短いものですが、貴重なヒントが含まれていました。ファイザー製薬については改めて私から説明するまでもないと思いますが、世界最大の製薬メーカーで従業員は世界150カ国に11万人。すげーっすね

    ファイザーは、薬や栄養食品などでは有名だが、幼児用の栄養補助食品で市場参入した頃は経験が浅く予想しない問題が散発したようだ。具体的な事案についての説明はなかったが、Reputationaマネージャー、リスクマネージャーとしての心得が分かりやすく紹介された。

    まず、そもそも幼児向けの商品というのは厳しい批判や過剰な監視対象になりやすい。政治的にも利用されることが少なくない。NGOなどからの商品の安全に対するクレームや不買運動も実は法律の不備を追求することが目的ということもあったようだ。問題の本質を見誤ると、必要のない場所に過剰なコストをかけてしまうことがある。

    心得その1:スーパーヒーローになろうとするな
    海外では、地元を理解する現場の人間に権限を持たせる。自分が解決しようなどとは思わないこと。先のNGOからの安全性に対する抗議の例では、現地の国の法律不備とそれに対する人々の態度や抗議の存在を知らなければ本質をつかめずに右往左往するだけだったと語った。Hawkins氏は国連で10年以上も勤めていたということなので、異文化での現地スタッフの重要性がよくわかっているようだった。

    中小、零細では異文化での対応というケースは多くはないかもしれない。考えられるのはリスク管理の専門でもなんでもない暇な上司が出しゃばるケースだ。経験を積んでいる分、危機管理のノウハウがあればいいが、単なるヒーロー気取りで乗り出されたら鎮火どころか大炎上となる。現場の人間の声を良く聞いて、できるだけ権限を与えよう。そんなことしたら自分の立場が、と心配するのは間違っている。権限を与えることが十分立派な仕事だ。

     

    心得その2:スカイダイバーではなく、原発オペレーターの如く
    本当の危機が訪れるまでその存在が他から意識されないようなということで、原発オペレーターという例えを用いていた。勇気を出して飛び込むのではなくて、淡々と冷静に対応せよ。平時に聞くとアタリマエと思ってしまうが、普段予防策がメインの仕事のリスクマネージャーは必要以上に勇気を振り絞ってしまう可能性が確かにある。心得その1と内容がかぶるので、以下省略。

     

    心得その3:動きの速いゾンビから先に倒せ
    リスクの種類、段階について文字通り、Slow zombies and fast zombies と表現していた。

    ゲームをする人は、バイオハザードを思い出して欲しい。知らない人は想像して欲しい。雑魚ゾンビとケルベロス(ゾンビ犬)が襲いかかってきたら誰もがケルベロスを先に倒そうとするはずだ。動きの速いFast Zombiesは放置するとどんどんエスカレート(噛まれまくる)。あっという間に致命傷を食らわされる。とにかく素早く対応することが重要だ。

    一方、Slow zombiesは時間的な猶予があることが多く、いざ目の前に来ても攻撃力は比較的弱い。ケルベロスにはショットガンでの対応が望ましいが、雑魚ゾンビはパンチとキックで対応できることと同じだ。

    Hawkins氏は、目に見える危機というのは素早いゾンビか、ゆったりゾンビのどちらかだと語った。対応する優先順位は重要だが、もっと大切なのはどっちのゾンビも脳みそが腐っていることを理解すること。つまり、目の前に見える物は恐ろしくても、実は脳みそすら機能していない取るに足らない物なのだから落ち着いて対応すれば深刻な問題にはならない。深刻な問題になるのは、対応の順番を間違えたり、犬好きの自信が高じてゾンビ犬を手なずけるために豚のげんこつを突き出してしまうようなことが原因だ。


    Hitoshi Eiga / 栄花 均

    Hitoshi Eiga栄花 均

    ソーシャルメディア・ストラテジスト、なんて名乗ったりしているが海外単身赴任生活の孤独を埋めてくれたFacebookへの思い入れがひと際強い。
    ソーシャルメディアを考えるのは人生を考えること。人生を考えるのは、自分の周りの人を考えること。その人たちと何をするのかが人生。

    海外の最新情報や、事例の紹介、費用対効果、マーケティング情報は他に任せる。ソーシャルメディアを思考するブログ。それがこのブログです。

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