1. 2013
    04
    12

    若者が炎上着火した時にまわりの大人ができること、すべきこと

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    Parenting / Leonid Mamchenkov

    先日、某企業のリスク研修で講師をしてきました。公式のソーシャルメディアアカウント開設に備えた社内セミナーです。受講されるのはオフィシャルアカウントの管理者の他、各事業部のマネージャーなので、大学生の炎上事例を含めて紹介してきました。自分の子供のことは真剣に聞いてくれるだろうと思ったからです。事業部マネージャーの中では、FacebookやTwitterなどソーシャルメディアの利用者は少ないようでしたが、大学生などの炎上事例の紹介ではかなり前のめりになって聞いていただけてる実感がありました。

    最近も、大学生がUSJで迷惑行為をしたことをTwitterやブログで自慢したことが原因で大炎上が起きました。「とくダネ!」で小倉さんが「有名大学なのにこんなことをして」というようなコメントをしていました。有名大学だろうと無名大学であろうとやってはいけないことに違いはないはずですが、有名大学の学生は悪のりをしてはならない(無名大学の学生なら常識の範囲内でどうぞ勝手に)ということがまるで当たり前のように語られます。

    USJでの迷惑行為をTwitterやブログで自慢する、有名大学に在籍している、このいずれの条件が外れていれば迷惑行為をしてもここまでの炎上にはならなかっただろうと思います。事の顛末は報道にもありますので詳細は省略しますが、迷惑行為をした大学生の在籍している二つの大学がUSJと、世間に謝罪しました。本人とそのご両親もUSJに謝罪されたとの事。しかし、お約束通り問題を起こした学生の氏名や顔写真はあっという間にまとめサイトなどで公開され、期待通り過去の未成年飲酒、喫煙などが掘り起こされ、脚本通り本人は自分のTwitterアカウントにはカギをかけ、ブログを削除しています。気持ちは分かりますが、残念ながら手遅れです。

    個人的にはもう少し寛容な社会であってもいいとは思いますが、そんな私の思いなどどうでも良い。この後、仮に退学処分とまではならなかったとしても、彼の就職活動は、採用担当者がGoogleを日常的に使うような会社だとなかなか思うようにはならないでしょう。本当に気の毒です。

    迷惑行為をしなければ良かったのに、Twitterやブログで自慢しなければ良かったのに、もっと言ったら無名大学に行ってれば良かったのに、というような意見は感想として持つのは自由ですがこの学生には何の励ましにもなりません。

    では、彼は炎上発生後にどのタイミングで何をすれば良かったのでしょうか。周りの大人はどんなアドバイスをしてあげるべきだたのでしょうか。

    逃げずに立ち向かえ!

    さて、若者の炎上時例は日本だけではありません。
    炎上の後の傾向も似ています。文化的な背景の違いから問題になる投稿の傾向は少し違ったりはしてますが、炎上を発端として過去の投稿が発見され個人が特定されて晒されるという流れは基本的に同じです。

    イギリスにケント州という地域があります。あのケント紙発祥の地でもあるのだ、と先ほどwikipediaに教わりました。イギリス国内で初めての試みである「若者の犯罪防止の委員会」に若者代表として選出された17歳の女性がいました。年間15,000ポンド(4月12日現在で約230万円)の給与が用意されたこと、警察が若者との行動、文化、価値観のギャップを少しでも埋めるために若者を採用するという画期的な試みで全英で注目されました。ところが、その女性の過去のTweetが、人種差別的、同性愛者差別、ドラッグや未成年飲酒、セックスなどに関連するものが散見されたために炎上しました。

    着火した若者の名前はParis Brownさん。前述の日本の大学生と違ってこうして名前をここに記述できるのは遠い外国の話だからではなく、件の大学生の名前で検索した時と検索結果がまるで違っているからです。

    興味のある人は詳しく調べていただくとして、ParisさんのTweetは若者としてはたわいもないもので、今回の委員選出がなければ特に問題にならなかったろうと思います。人種差別や同性愛者への差別も騒がれてるテンションとは全然違うことがわかります。今は14歳から16歳までのTweetは削除されていますが、それは都合の悪い投稿を隠匿するためではないようです。

    17歳で15,000ポンドの給与、そして国内初代の委員選出となればキャリアにも大きくプラスとなるでしょう。しかし、この騒ぎを受けて彼女は委員を辞退することとしました。そして自ら多く集まった報道陣の前に立ち、自らの言葉で辞退の意と謝罪を行ないました。

    Parisさんはきっと悩んだろうと思います。辞退することを決めた後にもどういう対応をするかにも悩んだろうと思います。もしかしたら周りの大人や両親に相談したかもしれません。どういう経緯があったのかわかりませんが、自らの言葉を自ら語る事を決めました。炎上発生からすぐに。

    会見の中でParisさんはこう語りました。訳が下手なのは勘弁してください(妙訳)。

    私のソーシャルメディア上の発言で傷つけてしまった人がいることを認めまます。本当に申し訳ありませんでした。ただ、人種差別や同性愛者への差別などは絶対にないことだけは分かってください。うっかりソーシャルメディア上で虚勢をはってしまっていました。私のこの失敗が他の人の反面教師になればいいなと思っています。

    立派なのはParisさんだけではありません。委員選出に携わった関係者はこう語りました。

    私は天使のような汚れなき者を採用したかったわけではありません。警察官でもありまえせん。ありのままの若者こそが必要でした。バカな行いをしたり、ときに他人を不用意に傷つけない若者なんているでしょうか!?

    誰だって後悔するようなことを投稿したことがあるでしょう?私はあります。
    ただ残念ながら私たちは誰もが閲覧することのできるインターネット環境があることを前提とした世界で生活しています。

    Parisさんは私たちが期待する能力と経歴を持っている事は間違いありません。

    メディアは、これ以上彼女に関する執拗な報道を避けるべきです。このカメラの前に自ら立ち、自らの言葉を語ったこの女性を。

    メディアよ!あなたたちの仕事は、人々、特にこのような若者の人生を破壊することではないはずです。

    悪いのは、自業自得の若者でしょうか? 正義面した大人でしょうか。

    7ヶ月ぶりにブログ記事を書いた中年から若者への応援でした。

    逃げずに立ち向かったParisさんの会見の動画はこちらからどうぞ
    http://belfasttelegraph.bbvms.com/view/twocol_article/2140600.html


    Hitoshi Eiga / 栄花 均

    Hitoshi Eiga栄花 均

    ソーシャルメディア・ストラテジスト、なんて名乗ったりしているが海外単身赴任生活の孤独を埋めてくれたFacebookへの思い入れがひと際強い。
    ソーシャルメディアを考えるのは人生を考えること。人生を考えるのは、自分の周りの人を考えること。その人たちと何をするのかが人生。

    海外の最新情報や、事例の紹介、費用対効果、マーケティング情報は他に任せる。ソーシャルメディアを思考するブログ。それがこのブログです。

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